データサイエンティスト検定(DS検定)って?学習方法や難易度について徹底解説!

AI技術の普及に伴い、データ活用の需要が急速に拡大しているのをご存知でしょうか?

「AIやデータ分析を学びたいけど、何から学習を始めたら良い?」という人にとっては、データサイエンティスト検定(DS検定)がおすすめです。

そこでこの記事では、これからAIやデータ分析を学んでいきたい人データサイエンティストについて知りたい人に向けて解説していきます。

この記事でわかること
  • データサイエンティストについてわかる
  • データサイエンティスト検定(DS検定)がわかる
  • データサイエンティスト検定(DS検定)のメリットがわかる
  • データサイエンティスト検定(DS検定)の合格ライン・難易度がわかる

ぜひこの記事を読んで、データサイエンティスト検定(DS検定)にチャレンジしてみましょう!

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目次

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、統計学やAIの知識を活用して大量のデータを分析し、そこから得たデータをもとに企業の課題解決をサポートする専門人材のことです​。

例えば、マーケティング領域では「商品Aを購入しやすい顧客層は誰か?」といった分析から、適切なターゲットに商品を推薦する施策を立案していきます。

また、金融分野では顧客の信用リスク評価や不正取引の検知、医療分野では患者データからの疾病予測や治療効果の分析、IoT分野ではセンサーデータを用いた設備の故障予知や最適な運用改善など、様々な業界でデータサイエンティストが活躍しています。

データサイエンティストに求められるスキルは様々ですが、大きく分けて次の3つの力に分類されるでしょう。

  • ビジネス力
  • データサイエンス力
  • データエンジニアリング力

ビジネス力にはビジネス上の課題を正しく理解してデータを活用して解決策を導く力が必要で、データサイエンス力には統計学や機械学習といったデータ分析によって有効な知見を引き出す力​が求められます。

また、データエンジニアリング力はデータを収集・加工し、分析できる形に整えてシステムとして実装・運用する力のことです。

これら3つのスキル領域すべてに精通した人材はあまり多くありませんが、データサイエンティスト協会ではこの3領域を備える人材像を定義しています​。

実際の現場では、ビジネス寄りのデータ分析官や開発実装寄りのAIエンジニアなど、それぞれ強みとする領域が異なるケースもあります。

それでもデータサイエンティストにはビジネス・分析・エンジニアリングの基礎素養がバランス良く求められ、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進役としてデータ活用の仕組みを設計・実装・運用する役割を担う存在だといえるでしょう。

DS検定取得のメリット

DS検定を取得するメリットには次の3つがあります。

  • スキルの証明
  • キャリアアップへつながる
  • 専門領域を学べる

それぞれ解説していきます。

スキルの証明

DS検定は一般社団法人データサイエンティスト協会が主催する公的なデータサイエンス資格で、2021年の開始以来、受験者数は右肩上がりで増加しており、業界内で徐々に知名度と信頼性を高めています​。

この資格の取得によって「データ分析の基礎理論と知識を正しく身につけている」という客観的な証明になるため、単に「データ分析をやったことがある」だけでは証明しにくいスキルを有することを示せる点は、DS検定におけるメリットといえます。​

見習いレベルとはいえ、正式なカリキュラムに裏打ちされた知識を持つことを証明できるため、スキルに対しての信頼を得ることができるでしょう。

キャリアアップへつながる

DS検定の取得は就職・転職時の大きなアピールポイントにもなります。

企業側でも昨今は人的資本経営の観点から社員のデジタルスキル向上に注目しており、コーポレートガバナンスコードでもデジタル人材育成への取り組みが求められています​

こういった流れの中でデータサイエンス系の資格を持つ人材を評価し、採用や配置で優遇する企業が増えている現状です。

実際に「DX人材育成のKPIとして社員にDS検定取得を推奨する企業」も現れ始めており​、資格保有者への期待は高まっています。

特に新卒でデータサイエンティスト職を目指す学生にとって、DS検定合格は「基本スキルを持っています」という証明になるので、未経験からデータ分析職種へ転職したい社会人にとっても知識習得の指針かつアピール材料になります​。

既にデータ分析業務の経験がある人にとっても、改めて体系的な知識を整理しスキルの裏付けを示す機会ともなるでしょう​。

専門領域を学べる

DS検定はデータサイエンス分野を幅広く網羅した内容であり、他の関連資格とカバー範囲や目的が異なります。

関連資格として「G検定」や「統計検定」がありますが、G検定では主にAI・ディープラーニングに関する知識に焦点を当てたものとなっており、統計検定では統計学に特化した資格試験で、データ分析の理論面を深く問う内容となっています。

DS検定は機械学習からデータエンジニアリング、ビジネス知識まで幅広く問われるため、要求される勉強量はG検定の約4倍とも言われており、ITやビジネスの観点も含めて総合力を問う点が特徴といえるでしょう。

DS検定試験の概要と目的

DS検定の目的は、データサイエンティストに必要な基礎スキルを習得していることを客観的に証明して、業界全体で人材のミスマッチを減らすことにあります。​

本検定を取得することで「データサイエンティストに必要な入門レベルの実務能力や知識」、およびそれらを支える統計学・AIリテラシーを備えていることを示すことができます​。

要するに、DS検定は「データサイエンス版のリテラシーテスト」とも言えるでしょう。

試験概要

DS検定は、受験に際して年齢・職業などの制限は特になく誰でも受験可能です。試験方式や出題内容は以下の通りです。

項目試験会場
試験会場全国各地の指定試験会場(CBT方式)で実施​。(コンピュータ上で解答する試験)
出題形式選択式問題(多肢選択式)
※4択のマーク式問題が中心で、一部組み合わせや穴埋め形式もあり。
問題数100問程度
試験時間100分
受験費用一般:11,000円(税込)
学生:5,500円(税込)

DS検定においてプログラミングスキル自体は重視されないため、プログラミングのコーディング問題は出ません

ただし、SQLの基本やPython/Rで使われる分析手法の名称程度は選択肢に出てくる可能性があります

試験は基本的に年2~3回実施、試験日程は1ヶ月程度の受験期間が設定され、その期間中の都合の良い日に各自がテストセンターで受験する方式となっています。

結果発表は受験から約1~2ヶ月後に行われ、マイページ上で合否とスコア(分野別の得点率など詳細な成績)が確認できます​。

DS検定の難易度

DS検定は国内のデータサイエンス系資格の中でも最もカバー範囲が広く、かつ暗記だけでは対応できない問題が多いことから一般的に難易度は中程度とされており、実際の合格率は40%前後で推移しています。

統計・機械学習・データエンジニアリング・ビジネスと複数分野にまたがる知識を問うため、苦手領域があると得点を落としやすく、全体を満遍なく勉強する必要があります

また「このアルゴリズムの特徴として誤っているものはどれか」「分析手法AとBの違いは何か」といった本質的な理解を問う問題が出題されたり、統計の検定問題ではp値の大小関係を解釈したりと、簡単な行列計算でデータを変換するような設問も出題されています。

難易度を他資格と比較すると、G検定よりは難しく、統計検定2級と同程度ではありますが、実務経験者や実際にG検定を受験・合格したことがある人にとっては比較的合格しやすい検定と言えるでしょう。

DS検定の合格ライン

DS検定の合格基準(合格ライン)は概ね「正答率80%前後と公表されています。つまり100問中およそ80問正解できれば合格圏と考えられます。

実際、第1回(2021年9月)から第6回までは毎回正答率80%前後が合格ラインとなっており、第7回(2024年6月)で初めて約77%とやや低下しましたが、それでも高い水準です​。

では過去の受験者数や合格率の推移を見てみましょう。以下は第1回~第7回試験の受験者データです。

スクロールできます
試験回
(実施日)
受験者数合格者数合格率合格ライン
第1回
(2021年9月)
1,400名927名66%正答率80%
第2回
(2022年6月)
2,900名1,453名50%正答率80%
第3回
(2022年11月)
2,600名1,088名42%正答率79%
第4回
(2023年6月)
3,050名1,347名44%正答率79%
第5回
(2023年11月)
3,750名1,427名38%正答率79%
第6回
(2024年3月)
2,500名1,089名44%正答率79%
第7回
(2024年6月)
1,950名929名48%正答率77%
第8回
(2024年11月)
3,300名1,474名45%正答率77%

このように難関度は高めですが、逆に言えばしっかりと準備すれば確実に合格点に達するとも言えます。

合格者の体験談を見ると、「試験範囲の項目を一通り自分の言葉で説明できる程度に理解する」「公式テキストと問題集を繰り返しやり込み8割以上得点できるようにする」といった水準に達していれば合格圏内とのことです​。

また試験終了後にはその場で分野別の得点率が印刷されて手渡されるため、自分の弱点分野も把握でき、不合格だった場合も次回への学習計画に活かしやすい仕組みになっています。

DS検定は独学でも合格できる?

DS検定は独学でも合格可能です。実際に独学で合格した受験者も多数おり、公式テキストや問題集など学習リソースが整いつつある現在、自己学習で十分対応できます。

ただし、独学で合格するためには自分のレベルに応じた適切な学習計画を立てることが重要となるでしょう。

学習時間目安

独学で合格するために必要な勉強時間は人によって異なりますが、初心者の場合は約200時間ある程度知識や実務経験がある場合は50~150時間程度が目安とされています。

初学者

データサイエンス領域初学者の学習時間目安は、150~200時間程度(毎日2時間なら3~4ヶ月)です。

高校数学や統計の基礎から勉強する必要があるため、リファレンスブックの内容理解に時間を割くようにしましょう。

余裕があれば関連する入門書で基礎固めをすると安心です。

経験者

関連知識のある経験者の学習時間目安は、50~100時間程度(毎日2時間なら1~2ヶ月)です。

統計学や機械学習の基礎理解がある人、あるいはG検定合格者・データ分析の実務経験者は、その知識をベースに不足分野のみ重点学習する戦略でも対応可能でしょう 。

統計検定2級に合格している方なら統計分野はおさらい程度で済むため、ビジネスやデータ工学の知識習得に集中するなどの対策で十分合格できます。

DS検定のおすすめ公式参考書

最短突破 データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック【第3版】
総合評価
( 4 )
メリット
  • データサイエンティスト協会のメンバーらが執筆
  • 試験範囲の項目を一つひとつ丁寧に解説
  • 巻末には模擬試験問題と解答例も収録

DS検定公式の教科書にあたる一冊で、データサイエンティスト協会のメンバーらが執筆しており、試験範囲の項目を一つひとつ丁寧に解説しています​ 。

データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力の3章構成です。

数理・データサイエンス・AIモデルカリキュラムの要点も網羅されている他、各章末に確認問題があり、巻末には模擬試験問題と解答例も収録​されています。

最短突破 データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック【第3版】

徹底攻略データサイエンティスト検定問題集[リテラシーレベル]対応
総合評価
( 4 )
メリット
  • 定番の対策教材「黒本」
  • データサイエンティスト協会が監修
  • 最新の試験範囲に対応した問題と詳細な解説が収録

インプレス社から出版されているDS検定対応の問題集で通称「黒本」とも呼ばれ、公式リファレンスブックと並んで定番の対策教材です​。

データサイエンティスト協会が監修しており、最新の試験範囲に対応した良質な問題と詳細な解説が収録されています​。

解説が丁寧で関連知識の補足説明もあるため、この問題集をやり込むことで弱点分野の補強にもなるでしょう。

徹底攻略データサイエンティスト検定問題集[リテラシーレベル]対応

まとめ:データサイエンティストを目指すならまずはDS検定に合格しよう!

データサイエンティスト検定(DS検定)は、これからデータサイエンス分野で活躍したい人にとって格好の登竜門と言える資格です。

試験範囲の学習を通じてデータ分析に必要な知識を一通り体系立てて習得できるため、合格すればその先の実務や応用的な学習にも大いに役立てられるでしょう。

難易度は決して低くありませんが、資格取得によって得られるメリットは大きく挑戦する価値は十分にあるため、 まずは本記事で紹介した公式書籍を活用しつつ学習計画を立ててみてください。

合格後はプロジェクトへの参画、さらなる上位資格や専門分野(機械学習エンジニアリングやデータアナリストなど)へのステップアップなど、キャリアの幅を広げていく選択肢も増やしていきましょう。

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